連続とか無限とか直感とか

フランチャイズの個別指導塾でバイトをしていたとき、別のバイト講師が「○○ちゃん(小学生の生徒)に『(x+y)×z = x×z + y×z ってなんでzは左辺に1個なのに右辺に2個あるの?』って聞かれた」と言っていた。小学生はxyzは使わずに丸・三角・四角だったかもしれない。その子にとってはzが左辺に1個で右辺に2個あることは直感に反するらしい。講師は飲み屋で「なんで、ってそういうもんだし。バカじゃん。」と一蹴していた。私は、たとえば升目を横にx+y, 縦にz並べた図を書いて説明したりすれば納得するかもしれないと思ったけれど、自分の生徒ではないので試していないし、分からない。


√2 = 2 を証明する有名なパラドックスがある:
https://mathworld.wolfram.com/DiagonalParadox.html
これは極限というものを厳密に考えていればどうしておかしいのかは難しくはない。折れ線列が対角線に収束するからと言って、長さの収束先が対角線の長さに等しくなるとは言えないのだ。けれども、私はこの現象が直感に反すると思ってしまう。うまく説明する方法もあるのかもしれないけど、神の視点からするとなんでそんな間違った直感を持っているのかが理解されずに「なんで、ってそういうもんだし。バカじゃん。」と一蹴されるのかもしれない。


中学生のとき反比例のグラフを習った。周りのクラスメイトも私も混乱した。x=0の周りでグラフがどんどん無限に伸びていくというのも分からなかったし、x=0にはぶつからないというのも分からなかった。今中学生にそういう風に質問されたら、「そういうことだってあるんだ」としか私には答えられないような気がする。どうして今の自分が「分かる」ようになったのかもよく分からない。単に、それまで特定の点で発散する関数を他に習わなかったから奇妙に感じただけなのかもしれない。そうすると、その奇妙さを払拭するには、その奇妙さのことは一旦忘れて地道に勉強を重ねてもっと色々なことを知るしかないのかもしれない。そして、これと同じ種類のことは大学以降の数学でもずっと起きてくると思う。